センサから出力される電気信号は微弱であることが多く、そのままだと信号処理には向いていないことがよくあります。
そこで、微弱な電気信号を増幅することで解析装置に合わせた信号成分に変換する必要があります。
このような電気信号の電圧や電流などを増幅させる為の装置のことを増幅器といい、
さらに演算機能を持たせた増幅器をオペアンプと言います。
演算機能とは2つの入力間の差分を増幅して出力する回路(IC)のことでアナログ回路ではシングルエンド入力や差動入力などがあります。
今回は、この差動入力型の増幅器に焦点をあててご説明をさせていただきます。
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差動入力型増幅器を使う大きな理由は信号を増幅することではなく、二つの入力信号の両方に共通に含まれる成分(同相成分)を取り除く能力にあります。
ノイズには一般的なノイズと同相ノイズがあります。このうち同相ノイズは差動型増幅器で簡単に減衰させることができます。
同相ノイズの発生原因は大きく2つが考えられます。
①配線やケーブルなどに電磁誘導などでノイズが発生する
②回路のグランドに別回路の電流が流れることによりノイズが発生する
ノイズで有名なものと言えば、スイッチング電源やインバータ装置などがありますがこれらによって発生したノイズの影響を受けにくく、また高調波も減衰させることができます。
差動増幅器のこの能力のことを一般にCMR(Common Mode Rejection Ratio)と呼び
CMR=-80dBのように表現している例もあります。
差動入力型増幅器を用いるメリットは他にもありますが、ここでは同相信号の除去に適していることに重点をおいてご説明をさせて頂きました。
参考文献
OPアンプ回路の設計_CQ出版社_岡村廸夫 著
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