
前回に引き続き、今回も“読み間違えていたシリーズ”です。
入社当初、私は「渦電流」を堂々と “かでんりゅう” と読んでいました。 しかも、うっかり入力するときに 「過電流」 と変換してしまったことまであります。
ある日、注文書を確認して 「かでんりゅうの注文書です!」 と元気よく伝えたところ、営業さんが少しだけ固まり、そして優しく教えてくれました。
「これ、“うずでんりゅう”って読むんだよ。」
その瞬間、心の中で冷や汗が流れました。客先に出す前で本当に良かった……。
正直、当時の私は「計測器の世界に“渦”なんて巻くものがあるの?」という状態でした。 文系の物理といえば、直流回路くらいの記憶しかなく、交流や磁場の話はすっかり抜け落ちていたのです。
渦電流とは? ― 磁場の変化から生まれる“くるくる回る電流”
渦電流とは、導体(金属など)の中で磁束が変化したときに生じる、渦状の電流のことです。
ざっくりイメージすると
・金属の中には、動くことのできる電子がある
・金属の周りで磁場が変化すると、電磁誘導によって電流が生じる
・その電流が、金属の中を渦を巻くように流れる
・流れた電流は、さらに磁場をつくる
・その磁場は、もとの磁束の変化を妨げる向きに働く
この最後の「変化を妨げる向きに働く」というのが、レンツの法則です。
……と、ここまで書くと、やっぱり少し難しく感じます。
そこで、文系事務員の私なりに、もっと身近なところから考えてみました。
文系的にひも解くと…小学生の磁石の記憶に戻る
最初に説明を聞いたときは「???」でしたが、もっと身近なイメージに置き換えると理解しやすくなります。
小学生のころ、磁石を習ったときのことを思い出してください
・N極とS極はくっつく
・N極とN極は反発する
この“反発する力”が、渦電流の世界でも起きています。 しかも、電流が“くるっと回る”ように流れるため「渦電流」と呼ばれています。
そう考えると、名前のイメージが一気にしっくりきました。
渦電流はどこで役立っているの?
渦電流は、実は私たちの生活のあちこちで活躍しています
・非破壊検査(キズや割れを見つける)
・IHクッキングヒーター(鍋を温める)
・電車の渦電流ブレーキ(摩耗しないブレーキ)
・金属探知機(導体の変化を検出)
計測器の世界でも、渦電流を利用したセンサーや検査装置は欠かせない存在です。
ちなみに…間違って変換した「過電流」とは?
「過電流」は、渦電流とはまったく別の現象です。
過電流:定格を超えた電流が回路や配線に流れる現象。 火災や設備故障の原因になるため、非常に危険。
変換で「過電流」と出てきたときは、 「えっ、そんな危険な電流の話だったの?」 と焦ったのを覚えています。
文系でも、世界がつながる瞬間がある
渦電流の仕組みは難しく感じますが、 「磁石が反発する」 という小学生のころの記憶とつながった瞬間、私の中で世界がひとつにまとまりました。
計測器業界は、知れば知るほど面白い。 読み間違いから始まった小さな疑問が、物理の世界への扉を開いてくれることもあります。
数値の裏側に隠された物語を、次回もまた、あなたへ。
次回、インピーダンスとリアクタンスをお楽しみに
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